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2009年1月28日

2009/01/28

府庁WTC移転の件

橋下知事は随分乗り気だ。
確かに、税金を投入したものの、それが活きていないWTCを府庁舎に「チェンジ」して有効活用し、現在一等地にある庁舎の土地を高値で売るというのは経済効率的に見れば良い案に見える。
けれども当初の計画はともかく、現状では休日に遊びや買い物に来る客を目当てにした施設となっているWTC、ATCのエリアに府庁が来るということにはミスマッチな印象がある。
行政施設やその集まるエリアというのは、どこも城跡の中や、その周辺に作られ、落ち着いた威厳のある雰囲気の中にある場合が多い。それは昔の「城主が民衆を統治する」的な意識とつながり、民主主義社会には相応しくないという見方もできるが、反面、良く整備された歴史的エリアが今では住民の貴重な財産となっていたりもする。
また、対外的にはその都市の「顔」となる場所であり、それなりの機能と風格も必要である。

もし、財政的な問題が無ければ、今の場所に府庁舎を立て替える以外の選択肢はなかっただろう。WTC移転構想の基礎になっているのは「金がない」という事情によるもので、知事はそれと「関西州」という道州制に基づいた新しい行政制度をくっつけて、それを「未来の姿だ」とし、WTC移転案に妥当性を与えようとしている。

確かにそういうやり方もあるとは思う。それ自体はそんなに悪い考えではないと思う。
ただ、財政問題と道州制を一緒くたにして、一気にやろうというのは無理があるように思う。
現在のWTCやその周辺と府庁周辺を見比べれば判るが、その環境はまるで違う。商業施設としてつくられたWTCを関西州の中心となるような行政エリアとするのなら、それに相応しい品格を持てるよう、随分と周辺に手を入れなくてはなるまい。建物だけでなく、周囲の再開発がどうしても必要となってくる。
例えば新宿の都庁舎は、周囲の高層ビル群と一体となり、東京のランドマークとなっているが、それが都市のイメージ、「格」を成立させている。大阪に一番欠けているのはそういったものであり、ビジネスや観光と大きく関連している。それを新たにWTCで作り上げるのは、もともとそういう意図で開発されたわけではないベイエリアの大規模なスクラップ&ビルドであり、そのトータルのコストはどうなるのかと思う。すでにそこで生活や商売している人達にとっては環境の激変を強いることになり、一悶着もあるだろう。そして現在の一等地にある府庁舎を売ってしまえば、もう二度と戻ることはできないのだ。

それらの理由から、WTC移転はアイデアとしては悪くはないが、もっとじっくり考え、具体的なイメージを描いていく必要があると思う。
知事はせいぜい4年かそこらの任期で「あれやりました、これやりました」とアピールできることをやれば良いが、府民はその後ずっとその結果の中で生活していかなければならないのだ。

橋下知事はやたら「府民の声」といい、高い支持率を背景に多少強引なこともやってしまう。
けれども私には、これが「遅れてきた小泉純一郎」のように見える。
あの高い支持率を誇った小泉の改革は今、派遣切りやなんかで反省の対象となっている。
人気投票となってしまった選挙で選ばれたポピュリズム政権である橋下知事の仕事が、後に負の遺産となり、反省の対象となることを危惧している。

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