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2008年6月22日

2008/06/22

知事、研修の件ですが・・・

40代くらいを対象に自衛隊で研修を、という話だが、これを聞いたとき、まずどうして自衛隊なの?と思った。それだけ聞くと、なんだか軍隊式スパルタ訓練をやらせる、みたいなイメージを思い浮かべる人が多いと思うし、そういうイメージを元に賛否両論が飛び交っているような気がする。

本物の隊員の訓練では、硫黄島で熱さに耐えながら塹壕掘りをやったり、ジャングルの中、食料を調達しながら行軍したりとか、そんな大変なのもあるみたいだが、一般向けの体験入隊では、基本的な生活態度をきちっと、きびきびと行い、だらだらと過ごしがちな日常を見直す、というようなもののようだ。

テレビでやっていたのを見たけど、女性向けのもあり、決して「死んでしまう」ほどハードなことを要求されるわけではない。むしろあまり知られていない自衛隊という異世界での「洗礼」という、インパクトやイメージが、勝手に一人歩きしている。

「府庁の事務職にどっぷり慣れ親しんだ職員に、あいさつ、姿勢から学んでほしい。僕も含めて」

ということだが、公務員の世界にもいろいろあって、そもそも体験入隊しに行く自衛隊だって公務員だし、警察だって公務員だ。だがその組織によって空気は全く異なり、上意下達のタテ社会の組織ほどそのルールには厳しい。

一方、その他の役所はむしろ自由な意見、議論、風通しの良さが必要でもあり、そんな厳しさは要求されない。警察などと比べればかなり気楽だ。そして学校などになると、子供達と接するわけだから、さらにソフトな雰囲気となる。(ただ、最近では締め付けが厳しくなってきて、上意下達型になりつつあるようだが…)

そんな府庁の空気をいくらかピリッとさせたいというのが知事の意図ではないかと思うのだが、ある意味それはとても重要なことともいえるが、一方でやり方を間違えるとどうしようもないことになってしまうとも思う。その辺をまず整理して考える必要がある。

以前書いた(http://loneintheuniverse.cocolog-nifty.com/weblog/2008/03/02/index.html)ように、彼のような異色の知事に期待されること、そして彼がなすべきことは、組織の体質の根本的な改革だと思っている。ようやく、というか、いよいよそこに気付いて手をつけようとしているのか、と思って見ているところだが、それは単に自衛隊に体験入隊させれば済む話ではない。

そもそも、この世代に刺激を与えたいと思った理由は何だろう。「どっぷりと慣れ親しんだ」理由は何だろう。それを改善するのは体験入隊でなくてはならないのだろうか。
本来はそれぞれの専門性を磨き、仕事の中でそれを活かし、行政を動かしていく気力や実力の充実している世代のはずだ。でもマンネリになって沈滞しているように見えるからそんな研修をやってみたくなった、そんなところではないか?

体験入隊が相応しいという人もいるだろうが、単にそういった一過性のイベントで終わらせず、職員の持っている能力や意欲を発揮するための人事制度とか、組織改革とか、そういうことにも目を向けていくべきだ。
何せ橋下知事の言っていることと言えば、今のところすべて後ろ向きの、気が滅入るような話ばかり。研修にしても、冒頭に述べたようなイメージで、しんどいことを無理矢理やらせる、みたいな印象を与えてしまっている。それでは士気も上がるまい。

民間企業ならストックオプションとか、そんな「ニンジン」を与えて社員のやる気を引き出したりする。だが役所にストックオプションはない。あるのは退職金だけだ。頑張っても頑張らなくても同じ、つつがなく勤め上げ、できるだけたくさんの退職金をもらう、それだけが動機になってしまう。

だがそれがいけない。それだけが動機だから給料が下げられると困ってしまうのだ。もらえるものが減って、仕事が減らないのだから不満が積もるのは当然だ。やってられるか!という気にもなる。でもそういうわけにはいかないのだから、ストレスだけが募り、仕事への意欲も低下しかねない。
だが仕事を通じて自分も成長している、そう感じられる職場・仕事であれば、たとえ給料が減っても、そこに喜びを見いだすことができる。

公務員というのは、身分の保障と引き換えに自由を手放している人達のことである。
報酬という保障を削減するのなら、代わりに自由を与え、よりやりがいを感じられるような環境に変えるべきなのだ。
自由といっても、硬直化した組織で気付かずに放置されている程度のものだが、それでも組織の活性化にはインパクトがあるだろう。庁内の若手職員などはそういった部分に期待しているはずだ。だからこそ、彼はそういったところに手を付けるべきなのだ。

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