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2005/05/15

使えないシステム

 自治体などの行政機関にはコンピュータを使った様々なシステムが導入されている。それらの数はパソコンが身近になり活用が進むにつれてますます増えているが、こういったところに納入されるシステムには使い物にならないようなもの、あるいはほとんど使われていないものが少なくない。
国レベルでは専門家を使って仕様書を作成し、少しでもちゃんとしたシステムを適正な価格で納入してもらえるよう、制度の改善などを試みているが、そうでもしないと完成品は完全に受注業者次第になってしまうのが実態である。

 役所に納入されているシステムのうち、納入されたものの、使われずに死蔵されているのをこれまで何度も目にしてきた。大金をつぎ込んだのに、誰も触った事がない、当初のもくろみ通りに活用されていないのだ。だがそうなった原因は非常に簡単、システムが使いにくいからである。

 使いにくいシステムが納品される原因は、発注後、詳細部分を検討する際、使いやすいものをつくるための具体的な指示がなされないからである。請負側はシステムの専門家ではあるが、使う側の立場が分かるわけではなく、機能すなわち技術的な面ばかりに目がいく。一方、発注側はあれやこれやと様々なことができることを望んでそれらを機能として取り入れるよう要望するが、ここで見過ごされるのが実際に使う人間の目線、感覚とSEの感覚のズレの補正である。

 発注者側はこんな機能が欲しい、こんな風にできたら良い、と言い、SEはそのとおりにする。しかし同じ「できる」であってもその意味するところは全然違うということをまず認識する必要がある。
これは車に人を乗せて走るという機能を要求しても、それを満たすものにはベンツから軽自動車まであるのと同じで、発注者側がベンツを望んでいるのに軽自動車を納入しても使い物にならないと言われるのと同じ事である。

 しかし実際に両者の溝を埋めるのは容易ではなく、その間をとりもつ人間が必要である。受注側は納入したものに不満を言われても、仕様書にさえ合っていれば文句を言われる筋合いはなく、もし変更が必要ならさらに金を払ってくれといえば儲けにつながるので、これは基本的には発注者の仕事である。だから仕様書に現れてこない細かい部分は、具体的な指示をしなくてはならない。国レベルでの仕様書作成への専門家の関与はそういった部分での不利益を防ぐ手だてであるが、そういった対策が取れない場合はやはり使い物にならないシステムが納入されることになってしまう。

 IT化は行政にとっては一つのお題目のようなものであり、その名がつくものなら予算が付きやすいということがあった。いかに活用するかより、いかにそういったものに金を使ったかがPRされる中で、ハコモノとは違ってシステムは一目につかない分、使い物にならなかったり、実際に使われていなくても納入さえされていれば良しとされてしまう。目立たないだけになおさら罪が深い。こういった問題にはもっと真剣に取り組む必要がある。

 この状況を改善するには、専門家とまでいかなくても、開発段階で開発者との橋渡しができる人間を活用する事に尽きる。そういった仕事で要求される技能はどんな分野にも共通しており、何のシステムであろうと対応が可能だ。ところがここでまた行政機関の職種による区別が障害となっている。
そのシステムが土木関連のものであれば土木屋達だけで対応し、広報に関するものであれば事務系の人間だけで対応する、そういったやり方になっているからだ。
ほとんど昔のままで固定された職種の区別が残る一方、こういったIT化に必要な職能は無視されている。そのことが結果として使い物にならなかったり、効率の悪いシステムを増やしている。

 マイクロソフトやソフトバンクといった新興IT・ネット系企業はIT技術でもっていかに良いサービスを提供できるかを競い、成長してきた。行政機関においてもそういったことがなされるべきで、なされていないわけではなくても競争がなく、専門のセクション、人材がいない中、十分に活かされていない。
そのことは納税者に満足いくサービスを提供していないというだけでなく、税金を無駄にしているという二重の罪なのだ。

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